なんとなく、暮らしてる

800文字程度の雑文

小説すみだ川の感想

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永井荷風は前書きのところで、この小説は自分の少年時代と比べてすっかり変わってしまった現在の隅田川を見て心に浮かんだものを書いた。というようなことを書いている。
だから小説すみだ川は大正時代の隅田川近辺の正確な写実ではないのだけど、永井荷風が描写はときに写実よりも写実らしく読者の目に映じるのだから不思議だ。
掘割の底の泥、苔の生えた板葺き、根元まで虫に喰われた竹、そんなものまでが詩的で美しく思えてくる。
今の隅田川永井荷風が見たらショックを受けるようなつまらない様相を呈しているのだろうけど、そういうつまらなさを承知の上で隅田川近辺を歩いてみたいと思った。一度も見たことがないので。「やっぱつまらねえなあ」と思いながら川のほとりを歩いたりしてみたい。
東京に住んでいたら昔の小説やら随筆に出てくる地名を訪ねて歩く道楽が持ていいなと思う。